リンツ、ドナウの流れに寄り添う町

ハウプト広場の朝とリンツ駅での切符

 昨晩は遅く寝たので、寝坊するつもりでいたのだが、朝7時には目が覚めた。
今日もすばらしい天気だ。

昨日は宿を探すことに気をとられて気づかなかったが、ホテルの部屋から見えたリンツの町はとても魅力的に見えた。
 リンツにくることを決めたのは昨日だったので、当初リンツを見る予定はなかったのだが、これも何かの縁だ。
一通りリンツを見て回ることにする。

 リンツについてさわりだけ述べておく。
リンツはウィーン、グラーツに次いで、オーストリア第三の都市だ。とはいっても、人口は18万人程度なのだが。
町を二分するようにしてドナウ川が流れているこの美しい川沿いの町は、多くの音楽家を魅了してきた。
 たとえば、モーツァルトはこの町のために交響曲「リンツ」を書き、ブルックナーもここの大聖堂でオルガニストを務めた。
 名物リンツァートルテも有名だろう。

 ちなみに、ブルックナーはリンツから南へ15キロほど行ったところにあるザンクト・フローリアン修道院のオルガニストも勤め、この修道院のパイプオルガンの真下に眠っている。
 ザンクト・フローリアンにも行ってみたかったのだが、時間がないのでいけなかった。
 ザンクト・フローリアンへはリンツ駅前の郵便局前バス停から行くことができる。

 まずは市内中心部を突っ切る路面電車で、リンツ駅まで行って荷物を預けておくことにする。
路面電車の一日乗車券は2.9ユーロ。

リンツを見物した後は、念願のハルシュタットへ行く予定。
リンツからハルシュタットに行くには、特急でアットナンク・プッハイム駅まで行き、そこでシュタイナッハ・イルドニンク行きのローカル線に乗り換えねばならない。

 先に切符だけ買っておこうと思い、券売機で切符を買う。
その後で時刻表をもらいに駅のインフォメーションへ行ったところ、券売機で買った切符は買ってから3時間以内に乗車開始しなければならないという。

 そこで切符を払い戻したわけだが、この払い戻しに結構手間がかかる。どうするかというと、書類に住所や氏名を書いて提出する必要があるのだ。
 鉄道の旅をする方は、注意されたし。
有人の受付で買った切符にはこの「3時間ルール」は適用されない。
この教訓を活かし、以後長距離切符は有人売り場で買うことにする。ひとつ賢くなった。

 それにしてもリンツ駅の職員はとても事務的である。
お役所仕事、といった風情だ。
キオスクのおばちゃんは親切だったけども。
私のようにリンツを通り過ぎていく旅人が多いせいかも知れない。

リンツ市内を散策

 気を取り直して路面電車でリンツ市内へ向かう。
リンツ市内での主な交通手段は徒歩と路面電車だ。
観光客は3番の路面電車を使えばまず間違いない。

【路面電車3番の主な経路】
始発・リンツ駅~15分~ハウプト広場~15分~終点・ペストリンクベルク駅

 まずはハウプト広場の南端にある旧大聖堂へ。
大聖堂の中は涼しく静かだ。
外見はさほど目立たないのだが、中身はスタッコ飾り(壁に彫られた模様のこと)があしらわれ、とても美しい。
 ブルックナーは1855~68年までここでオルガニストを務めたのだという。

 大聖堂を後にし、歩いてラントハウスこと州庁舎へ。
リンツはオーバーエスターライヒ州の州都。もちろん、州庁舎は今も現役の州政の中心地だ。
 16世紀後半に立てられ、かつてはリンツ大学として利用されていたという。
天文学者・ケプラーが惑星起動が楕円であることを発表したのもここだ。

 州庁舎は現在でも業務を行っているため、内部は見学できない。一通り眺めた後、路地を歩いて新大聖堂へ向かう。

 新大聖堂はウィーンのシュテファン寺院に次いで、オーストリアで2番目に高い。その高さは134メートルと物の本にはある。

 建築計画が持ち上がった当初は、シュテファン寺院を凌ぐ高さになる予定だったらしいのだが、ウィーンの反対にあって断念したという。

 シュテファン寺院はウィーンっ子の誇りなのだ。
都庁の高さに負けて展望台の客が減ったことを嘆いたというサンシャイン63とはわけがちがうのである。

 次はリンツ城博物館へ・・・と思って歩いていたところ、おいしそうなエビを発見!!
 ちょっと一休みして食べることにする。
日本人の私は海産物がないと生きていけない体なのだ。

 今ではもちろん何でも手に入るが、山国のオーストリアでは、かつてはエビを食べるなんて至高の贅沢だったのだろうなぁ・・・もぐもぐ。

 しばらくカフェの室内で食べていたのだが、せっかく晴れているし、と思い、オープンカフェに席を移してエビをぱくつく。
が、なにやら店員の奇妙な視線に気づく。
なんだろう?
おかしなことはしていないはずだが・・・
日本人がめずらしいからかな?などと思いをめぐらす。

完食後、自分が食べているテーブルが、エビを買った店ではなく、隣の店であったことに気づいた。
まぁ 食べ終わっちゃったし、いいか。

 おなかも満たされたし、リンツ城博物館へ。
リンツ城はかつての皇帝フリードリヒ3世の居城だ。
かなり急な坂道をえっちらおっちらのぼっていく。

んがしかし。
「リンツ城こちら」みたいな矢印をたどっても、博物館の入り口は見当たらない。
ぐるぐる城壁の周りを歩くが、やはり見つからずじまい。
工事中のような風情を見ると、今は休館なのだろうか?
まぁとてもよい眺めだったので、とりたてて不満もない。

 途中、工事の車が城のアーチをくぐれずに何度も行ったりきたりしている姿を見た。
もちろん、アーチは21世紀に自動車が通ることを想定して作られてはいない。
古いものを現代でも使い続けるというのは、思うほど容易なことではないようである。

ペストリンクベルク巡礼教会へ

市内の見所を一通りみたが、時刻はまだ13時。
そこで、路面電車の終点の前に駅があるペストリンクベルク登山鉄道に乗って、ペストリンクベルク巡礼教会へ行くことにした。
終点の巡礼教会がある駅までは、往復で5ユーロ。

※路面電車の終点は、ペストリンクベルクという名前ではないので注意。停車場から駅までは徒歩20秒程度。

 この登山鉄道は、ヨーロッパで一番急な狭軌式鉄道ということだ。1両編成の小さな車内は、よい天気ということもあり、ちょっとこでかけ・・・といった感じの親子連れでにぎわっていた。

 終点のペストリンクベルク巡礼教会駅で降り、教会を見学。
教会の由来がかいてあったのだが、ドイツ語オンリーで読めなかった・・・・。
外観は現在修復工事中の様子。
「皆様の寄付で修復工事がかないました」といった内容のポスターなんかが張ってあった。
字は読めないが、雰囲気でなんとなく分かる。

 教会近くのカフェでザッハートルテとコーラを注文。
あまりの甘さに悶絶しそうになる。
甘さを察してか、ミツバチが何匹もケーキにたかってきた。
人も人懐っこいが、無視までも人懐っこい国なのだ、ここは。

 歩いてみて思ったことは、リンツに限らず、オーストリアの町はとても小さいということ。
もっとも、東京が巨大すぎるのだが。
町の端から端まで路面電車で30分もいけば着いてしまうし、中心地は歩いて見て回れる程度の大きさだ。

 リンツの町は、飛騨・高山を髣髴とさせる。
小さくこじんまりとまとまった歴史の町。
そして適度に大きな町。
若者の好奇心を刺激はするが、それを満たすには、やや穏やか過ぎる町だ。
この町の若者の目がなんとなく乾いているのは、そのせいかもしれない。
 蛇足ながら、リンツには観光客はほとんどいない。
超ハイシーズンの季節だが、ごく通常運営中の町であった。

 山の上からの景色を楽しんだ後、リンツ駅へ。
リンツ駅からアットナンク・プッハイム駅へは主要鉄道が走っているのだが、乗り換えるローカル線のシュタイナッハ・イルドニンク行は本数の多さに期待できない。
日が高いうちに今夜の目的地、ハルシュタットへ向うことにしよう。

ハウプト広場で途中下車して遅い昼食をとり、再び鉄道の旅へ。

いよいよハルシュタットへ

オーストリアの駅では、
「だいたい~時頃の電車に乗って、○○から○○へ行きます」
と伝えると、タイムテーブルを印刷した紙を渡してもらえる。これはとても素敵なサービスだ。
そしてまた、オーストリアの鉄道はきっかり時間通りなのがよい。

 ヨーロッパはもちろん車があればより素敵な旅ができるが、オーストリアに限っては、バスと鉄道が整備されているので、電車とバスでもほとんど不自由は感じない。

 リンツを後にし、一路ハルシュタットへ。
リンツからアットナンク・プッハイム駅までは、ICで50分程度。
アットナンク・プッハイム駅では、主要鉄道の到着時刻に合わせて、乗り継ぎやすいようにローカル線とのタイムテーブルが組まれている。
(このローカル線は1時間に1本程度しかでていない)

おかげでとてもスムーズに乗り継ぎができたのだが、乗り継ぎ時間が8分ほどと、ドイツ語の読めない私にはちょっとぎりぎりの時間だった。
駅員さんに、乗り継ぐ電車がハルシュタットへ行くことを確認し、乗り込んだら1分後くらいに発車した。
あぶないあぶない。

 ハルシュタットへ向かう電車は、ローカル線だけあってがらがらであった。1車両に10人足らずしか乗っていなかった。

 電車は、グムンデン焼きで有名なグムンデンや、皇帝フランツ・ヨーゼフデイ1世に愛された温泉保養地・バート・イシュルなどを通り過ぎいく。
景色はすっかり山と湖に変わり、窓の外ではぽつりぽつりと雨が降り出したようだ。

アットナンク・プッハイムから1時間半。
ついにハルシュタット駅に到着!

ハルシュタット駅からハルシュタット湖の向こう岸にあるハルシュタット村までは、船でしか行くことが出来ない。
船着場への道は一本道なので、絶対に迷うことはないと断言できる。
連絡船は電車の発着に合わせてこちら岸とむこう岸を行き来している。

 船から見たハルシュタットは、まさに夢のような美しさだ。
グリュス・ゴット、ハルシュタット!!

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク